世界観

■世界観
序説
反転と魔物化
5つの領土
中央領カメリア
北方領トロムス
南方領ガロウェイ
東方領ハーナウ
西方領エデッサ
宗教と神々


序説

 孤島カウンシルに昇る銀月は、その光を浴びたあらゆるものを異形の魔物に変えてしまう。 道端の野犬は醜悪なケルベロスとなり、可憐な野草は旅人を妖艶に誘惑するアルラウネとなる。クリーピー・ドールとなった人形達が明かりの落ちた館内を徘徊し、そこいらの岩ですらストーン・ゴーレムとなって人々を襲う。

 人間達ですら例外なく、この光に惑わされて魔物と化す宿命にある。ある者は凶暴な狼男に、ある者は牙を剥き出しにした吸血鬼に――死者ですらこの月光から逃れることはできない。幽霊達は暗き夜道のあちらこちらに潜み、生への渇望に突き動かされたグールが荒野をよろめき歩いている。

 そのなかで、君たちはあらゆる依頼を受け持つフリーの傭兵団として生きていくことになる。 現在カウンシルでは5つの領地が孤島の覇権を賭けて対立し、各地で様々な争いが起こっている。君たちはこのいずれかの領地に肩入れしその覇権を確固たるものとしてもいいし、気ままに戦場を渡り歩くのも構わない。

 この魔物の溢れるゴシック・ホラーの世界に立ち塞がる脅威すら、力を持つ君たち『マーセナリー』の自由を阻むには至らないのだから。


反転と魔物化

 銀月の光は君たちの身体の反転を可能にする。反転したものは一定のあいだだけ魔物となり、更なる力を得ることが可能である。 ただし注意しなければならない。過度な反転は自らの魔物化を招く要因ともなるのだ。魔物化した者はもはや元の人間には戻れない。

 勿論、脆弱な肉体に別れを告げ、忌まわしき夜の勢力へ自ら下るというのならそれを止める者は誰もいないだろう。 魔物化は『キャラクターの死』ではない。全ては君たちの自由である。


5つの領土

 カウンシルには北方領、南方領、東方領、西方領、中央領の5つの領地があり、それらは上述のとおり互いに対立しあっている。 それぞれの領地には執政官と呼ばれる役職が置かれ、それら執政官が領地の実質的な統括を行っている。

 5人の執政官それぞれは――表向きがどうであれ――カウンシルの覇権を握るのは自身を置いて他にないと信じ込んでいる。 今もカウンシルの各地では大なり小なりの諍いが起こり、それらを解決するのは主に執政兵団、教会騎士団、そして君たち雇われの傭兵団である。


中央領カメリア

 カウンシル最大の都市ガドウィックを擁するカメリアは、その名の通りカウンシルの中心地である。ガドウィック周辺はゆるやかな丘陵と雑木林からなる平原に、城壁と大聖堂の置かれた都市群が点在している。カメリアの城壁都市群は常に魔物の被害に悩まされるカウンシルの土地において、最も安全な地帯とされている。

 ガドウィックはカウンシルの最大宗派「旧教会/The Old Church」の本拠地としても知られている。旧教会は教会の長でありカメリアの執政官でもあるヒューゲート・カルニをトップとし、カウンシルの全土に司教を配置して教えを広めている。その教義は魔物を忌むべき邪悪と位置づけており、魔物化に苛まれぬ安らかな人生を高潔なるものと讃えている。しかし、その行き過ぎた信仰と、近年顕著に見られる内部分裂の結果から他領の人間には「腐敗教会/The Mold Church」と揶揄されることも多い。

 教会の庇護のもと、カメリアの都市群は清潔に保たれ、高い秩序を維持している。聖堂や街道沿い、公共の庭や墓地などには教会騎士団の衛兵が常駐し住民の生活を保護しているほか、ガドウィックを含むいくつかの都市には救貧院が配置され、貧困者の後援にも力が入れられている。
 そういった側面から、カメリアでは他領に比べて魔物の生息数がとても少ない。街道や教区に出没した魔物などにはすぐさま教会騎士団が派遣され、討伐される。また、魔物化した人間は教会によって拘束され、最終的に都市部から隔離されてしまう。


北方領トロムス

 カウンシルの北方に位置するトロムスには、商業と職人主義の住人が集まっている。内陸を氷河と山岳によって構成され、一年を通して冷涼な風の渦巻くトロムスでは、それゆえ比較的温かい沿岸部に小~中規模の港町がいくつも存在している。とりわけ温暖な湾流の流れ込む交易都市ヴォーグスはトロムス最大の都市であり、カウンシル北部の交易の中心となっている。現在の執政官は成り上がりの商人セドリックであり、彼は若くしてこのカウンシルに存在する半数以上の市場を管理している。

 トロムスの湾岸は非常に入り組んでおり、周辺の航海は困難を極める。そのためヴォーグスを始めとする沿岸部の都市では造船技師と航海士、そして熟練の水兵たちが強い存在感を示している。また、海由来の交易品や宝物を目的とする商人らが一大市場を形成し、特に高級市場ハシュタではあらゆるビジネスが行われている。これらの市場都市周辺は海岸線に沿って交易路がひかれており、いくつもの隊商が行き交っているが、それらを付け狙う盗賊や海賊も多く出没する。そのため、トロムス商人の間では傭兵をキャラバンの護衛に雇うことが積極的に行われている。

 この地方ではマーフォークなどの海に由来する魔物や山岳を飛行するハーピーなどがよく見られる。また、内陸部にはいくつかサキュバスの集落が存在し、交易路を行き交う隊商を拐かす被害が続出している。険しい山々の奥にガルガンチュアの姿を見たという情報もあるが、定かではない。


南方領ガロウェイ

 カメリアの南方に位置するガロウェイは、そのほとんどを死に絶えた荒地に囲まれている。特にカウンシル南端の「死者の荒野」には見捨てられた大量のグールどもが蠢き犇めきあって、この地を訪れた無知な旅人を襲い喰らい挽き潰して同族の共同墓地へと引きずり込む。元々がカメリアの流刑地であるガロウェイではそういったことが日常の出来事で、この地はカウンシルの領地で最も危険な土地とされている。

 ダンフリーズはそんなガロウェイで唯一、安全が保証された(と表向きには伝えられている)都市であり、カメリアの旧教会を敵対視する新興宗教「灰火教団/Ashen-Fire Order」の本拠地でもある。ガロウェイの、魔物化した人間が各地から疎まれ最後に行き着く場所という性格上、彼らの教義も旧教会のものと真向から対立する内容であり、ガロウェイの執政官にして灰火教団大司教であるミハイロヴェチも自身に魔物の血が混じっていることを認め、魔物の廃絶阻止を自ら謳っている。

 この地方において圧倒的に多い魔物はグールである。その他、荒野に放置された数々の廃墟を根城として、アラクネやラミアが共同体を形成していることも多数報告されている。また、人の寄りつかない洋館の地下で、狂気の研究者によって今まさに凶悪なグリムが生み出されようとしていたとしても、それは何ら不思議のない話である。


東方領ハーナウ

 フェヒテバルトと呼ばれる深い森に囲まれた農村地帯、これが東方領ハーナウの全貌である。この遠吠えの森には様々な怪異が隠れている。人狼の牙、植物の蔓、幽霊の手、そしてお伽噺に語られる妖精たち……。トウヒやオーク、ブナの密集林からなる曲がりくねった暗い径に、湿った落葉が敷き詰められている。それらを踏みしめる愚かな旅人が、やがてこの森に呑まれ故郷に帰らぬことなど、この界隈ではいくらでもある話である。

 ハーナウでは森の所々に小さな町が点在し、町長と呼ばれる役職がその町々を各自に取り仕切っている。フェヒテバルトに包まれたこの領地では、人々は互いの交流を持とうとせず、町ごとに独立した自治が敷かれている。そのなかで最も古い歴史を持つ町、エッシンゲンの町長トーロがこの領地の執政官であるが、その影響力は如何ほどもない。

 フェヒテバルトはウェアウルフの絶好の狩り場である。彼らは森の灰色狼を従え、ワインを携えた柔らかな生肉が目の前を通り過ぎる瞬間を茂みの陰に隠れて待ち望んでいる。木々もまた旅人を誑かすアルラウネとなり、悪戯好きのフェアリーがその状況の悪さに拍車をかける。そうして森に囚われたなれの果てが、ゴーストとなり陽の届かない森の奥を彷徨っている。


西方領エデッサ

 エデッサはカウンシルにおいて最も人が少なく、最も陰鬱で、そして見放された領地である。立ち枯れた木々と険しい山地、細く切り立った山道には常に深い霧がかかり、枯死した皺まみれの針葉樹をかさかさと揺らす風に背を押され、崖下に不用意な一歩を踏み出す者が後を絶たない、そんな土地なのだ。

 この土地を支配するのはほとんどが魔物である。旅人が偶然立ち寄った町の住人全てが吸血鬼というアメリカン・ホラーじみた話も、このエデッサという土地では何ら珍しいことではない。まっとうな人間は山地の内陸部分、他の領地と近しい場所に居を構え、以降に住むのはそのほとんどが魔物化した者たちである。この領地の執政官は代々続く吸血鬼の血統、アーカム家の女当主カスティーヌである。

 山岳地帯に至る山道からはヴァンパイアの住む数々の田舎町が見つけられ、その山頂にはドラゴンの集落が存在する。内陸の谷や沼地にはスライムなども生息しており、この地に住む偏屈な生物学者によってキマイラの研究が為されているという噂もある。


宗教と神々

 カウンシルにおける宗教分布はおよそふたつに分けられる。秩序の神テーラスを信仰する最大宗派「旧教会」と、魔物と冥府の神ミヨクを崇める「灰火教団」である。その他、フェヒテバルトの狩人が崇拝する狩猟の神サノスや、エデッサの古き吸血鬼が祀る血族の神ガナージなどが存在する。トロムスの人間は基本的に熱心な宗教心を持たない。

 テーラスは法と道徳、秩序と苦難を司る太陽の神である。
 ミヨクは死と好奇、人生と運命を司る月の女神である。
 サノスは生と好戦、変化と循環を司る大地の神である。
 ガナージは血と加虐、混沌と享楽を司る火の女神である。




世界観

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反転と魔物化
5つの領土
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北方領トロムス
南方領ガロウェイ
東方領ハーナウ
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